はつこい文庫

ゆるいブログです

ぶつかって落ちる

荷造りをしていたのは、少しだけ肌寒い春の夜のことだった。 わたしとその子は昔からとびきり仲が良かったわけではなく、かと言って特別ななにかが起こったわけでもなく、なんだか知らぬ間にわたしの中のだいじなだいじな部分になってくれた子だった。似てな…

天使になれない

人生でなれなかったものが2つ。ひとつ目はアイドル。ふたつ目は清らかな天使みたいな人。 世の中にはごく稀に、汚れなんか知らないんじゃないかって思わせてくれる人がいる。わたしは高校の同級生にひとりだけいた。かわいくて、纏う空気が清らかで、誰にで…

迷いはなにも

さよならじゃなくてまたね、って言ってね。 たとえそれがさよならであったとしても。 新作のレースブラウスは、手持ちのスウェットと合わせるといい感じに馴染んで鏡の前で嬉しくなる。きらり光った右手のブレスレットは、黒いわたしのお守り。リップをひと…

それは確かに恋だった

親愛なるアイドルへ ご卒業おめでとうございます。本当ならばめいっぱい観客のいる会場で、たくさんの人たちに見送られ、自分の色に染まった会場を見て欲しかったのに、それが叶えられなかったことだけがただただ残念でなりませんが、卒業コンサートを実施す…

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もしも僕じゃなかったら もしも君じゃなかったら こんな気持ちさえ知らずにいたね (僕らの戦場/ ワルキューレ) 高校生の途中から図書室に通い詰めになっていたのは、居場所だった保健室に嫌いな女の子が居座るようになったからだった。誰でも来れるというの…

自覚してない恋心とか

いつか、誰かの特別になれると信じていた。 いつまでも輝き続けられると信じていた。 黒髪だった君が髪を染めて現れたとき、さゆりちゃんは少し目を丸くしたあと「髪染めたんだね」と笑った。セーラー服の白がまぶしく感じる夏の日のことだった。席替えで窓…

夏の思い出

ビー玉のついたヘアゴム 揺れる先をいつも見ていた 黙ってお揃いのものを買ったけど、 僕は君にはなれない そんなこと最初から分かっていた 真っ白なワンピースから覗いた か弱いサテンリボンの先を僕は知らない いつだって君は僕の手の中をすり抜ける 今日…

ねえ、わらって

手に入らない人をずっとずっとすきでいるのは楽ちんで、でも叶うことだけが恋ではなくて。ゴールがない恋は、終わることがないぶん幾分かずっとしあわせだ。恋をしている。叶わない恋をずっとしている。 わたしは心のなかで君を殺したり生かしたりできる。君…

まばたき

この世にいないからいつまでも側にいてくれる。この世にいるからいつかは去ってしまう。こんな思いをするのならばすきにならなければよかった。君と一緒じゃなきゃみれない景色があった。君を通していまのわたしができた。どれが正しいかなんてわからないけ…

Dear my innocence

ずっと一緒にいてくれるのだと心のどこかで思い込んでいた。それは正解であり間違いだった。CDの中にいる君は紛れもなくあの日すきになった君でこれからもずっとわたしと一緒にいてくれるけど、現実世界の君はアイドルを辞める。ずっと一緒にはいてくれない…

さゆりちゃん

さゆりちゃんはかわいい。さゆりちゃんは綺麗だ。さゆりちゃんはいつも茶色い毛先のくるくるとした髪をなびかせて窓際の席に座っている。長い髪をそこそこの長さにまで切ったさゆりちゃんは、それでも相変わらずかわいかった。さゆりちゃんは笑顔がかわいい…

センター街を歩く

怒りも悲しみも受け流すという修行僧のようなことを今日はしていました。結果は、しないよりかはましです。 理不尽な親への怒りで好きな洋服を破ったことがなかったりした子達には分からないであろう痛みを背負って生きてきて、哀れむような視線ももう何も感…

地球滅亡の日には紀の善であんみつが食べたい

キスもセックスも音楽も魔法じゃないし 絶対なんて永遠なんてないって分かってるし 神さまなんてわたし信じてないけど 君のことは神さまだってずっと思ってる。 小説か、ツイッターあたりに同じことを呟いた記憶がある。世界を変えるキスもセックスもきっと…

まばゆい

滑り込んだ改札鞄にはお守りのCD 外用のわたし中身はぐちゃぐちゃだけど 小さなiphoneに詰め込まれた本当のわたしは イヤホン越しの君に支えられて生きている フォーク刺した桃色のタルトは ワンピースの水色に溶けて 地下鉄に流れて消えていった ばいばいと…

君は僕じゃないし僕は君じゃない

※決して綺麗な文書ではない 高一の時親に書いた手紙担任に読まれて呼び出し食らったときも、学年でやばいって噂になってた女の子がクラス替えで近くの席になったときも総じて「あー人生終わった」と思ったけどなんだかんだ生きてるし、小学生のとき修学旅行…

ありのまま

わたしの生い立ちとか生き様とか知ったら、可愛そうって思う人が大多数だと思うけど可愛そうだなんて絶対に思わないで。 自分の思ってること、感じてることをそのまんまぶつけて自己投影しまくった夢小説を書いた。ら、たくさん反響を頂いてびっくりした。あ…

君が好きだ

可愛くなくてもかっこよくなくてもきらきらしてなくても好きでいる心だけはあって、まっすぐにずっと見つめてきたぶんわたしも大きくなったよねきっと。あなたがアイドルをやめてもわたしが諦めない限り心の中で生き続けて。あなたがくれたきらきらでわたし…

過ぎ去っていく中に色濃く残るもの

2月20日。あなたの誕生日。2年前の2017年2月20日、わたしは部屋で一人ずっと体育座りをしながら、今頃あなたはきっと最後の歌をメンバーみんなと噛み締めながら歌っているのだろうなと想像していた。ツイッターは敢えて見なかった。あなたはわたしの推しでは…

「秋元康カルタ」を作ってみた

わたしがもし秋元康カルタを作るとしたら、絶対に「ふ」は「降り始めた細い雨が銀色の緞帳を下ろすように幕を閉じた それが私の初恋」にする — まき (@sinkin_ship) November 18, 2018 sinkin66.hatenablog.com 主催者さんのこちらのツイートとブログを見て…

私の神さま

26歳のお誕生日おめでとうございます。今日一日、あなたは何を思って過ごしたのだろう。日付が変わった瞬間はやっぱり嬉しいって思うのかな、等身大の女の子のように。たくさんの人におめでとう、って言われたのかな。きっと多くの人におめでとうを言われて…

オクラ

私がたまに行くカフェの定食のプレートに乗っているオクラが物凄く美味しくて大好きなので今回はその話をしようと思う。 そのカフェはこぢんまりとしたカフェで、静かでシックで居心地がいい。友達と行ったりするのに丁度いい。少し遠いんだけどね。あ、久し…

手探りでもちゃんと生きていけるから

温かいご飯とお布団。安心する食べ物に寝床に居場所。人間にとって本当に大切なものはこれなんじゃないかって時々思う。生きることの資本であり根源であること。睡眠と食事と居場所。どうかわたしの好きな人たちが今日も美味しいものを食べて安心して眠れま…